2011年11月26日土曜日

Van Gogh

バスはかなりの田舎を走っていた。午後ももう遅い時間になり 僕たちは内心焦っていた。このバスで行けばよいと土地の人にいわれて乗ったのだが、進めども進めども目的地には着かない。だんだんその言われた言葉さえ理解できていたのか心配になった。僕たちは初めて訪れたオランダであまり聞いたことのない美術館を探していたのだ。
先日テレビ欄で クレーラーミュラー美術館の番組を見つけ 30年前のT君との旅行を思い出した。森の中の小さな美術館でゴッホのコレクションで有名だが、当時はまだまだマイナー感はあったと思う。閉館ぎりぎりにたどり着き、もう入れないと言われだが強引に入った思い出がある。当然中は僕たちだけで、小さな部屋に どれもこれも有名な作品ばかりががさりげなく飾られていた。
その作品たちは、その旅の中で 最も鮮烈に心に残る絵たちだった。
ゴッホの骨太な造形力と、一タッチ一タッチが彼の心と直接繋がっているような情感表現が 気の遠くなるような天才のスケールを感じさせた。
このコレクションはゴッホの死後たった20年後に造られたそうだ。クレーラーミュラー婦人がゴッホの絵をこよなく愛したのだ。『こんな感じ方があるんだ!』と言って感動していたそうだ。ゴッホの絵は本当に孤独を癒してくれる。
たった7年ですべての絵を描き、死んでいったゴッホは20年を経て復活したと言えるだろうが、もし生きていれば 57歳、クレーラーミュラー婦人とも出会えたのに。

2011年11月15日火曜日

3.11とCAF.N

CAF.N展を見に浦和に出かけた。とても驚いたのは、東日本大震災関連をテーマにした作品が多かったことだ。飯田に住んでいるとそういう部分での発信は多くはなかったのが・・・。(日本画家吉川氏の屏風絵の発表を新聞で知ったくらいか)
私も今回 直接的に震災を作品にしようとした訳ではないが 人智を超えたところにある大きなものに対する畏怖を表現したかった。ダークグレイの色調で暗い感じのできだった。
会場に入ってみるとダークグレイの絵がこのにもそこにもあるのだ。・・・・・
今回の作品に自信がなかった私は 美術館に入る前 元気付けにとひとりで焼肉屋に入りラム定食を食べた。パワーアップして批判を受けようと思ったのだ。
しかし意外にも自分の言いたかったことが伝わっていた。  嬉しかった。
にんにくバリアーを張って臨むほどではなかったのかも。

2011年11月5日土曜日

2011CAFネビュラ展

CAF.N展が来週から埼玉近代美術館で始まる。この展覧会は1978年に埼玉美術の祭典としてスタートし 現代美術のコンセプトと表現の問題を社会に問う運動として展開してきたという。現在は地域とアート、そして国際交流をテーマにさまざな地で展覧会を開催している。
昨年春の横浜展から私も参加していて、しっかりした主張のある作品を展示したいとつよく願っている。
しかしあまりうまくいってないかもしれない・・・苦戦中だ。
コンセプトが大事であることは70年代、80年代のアートを源流にしているこの展覧会にとって肝だと私は思っているし、そうあってもらいたい。70年ころのやたら難しくて、重暗くて、気難しいアートがいいとは全く思っていないが、その後訪れた『おいしいアート』やアニメアートでは人間の痛みや、挫折は表現できないと思う。
東日本大震災、原発事故、のあと 私たちは何を言うのか?参加作品を見るのも大いに楽しみだし、
自分の姿勢も問いたい。http://www.caf-n.com/